LET THE RIGHT ONE IN
『ぼくのエリ 200歳の少女』見てきた。
(公式:http://www.bokueli.com/ ※ホラー描写有注意)
一応軽くあらすじ。
いじめられっこのオスカー(主人公)が、隣に越してきた少女エリと出会い変わって行く。けれどそれと同時期に街で怪事件が発生し、オスカーは彼女がヴァンパイアで、その事件の犯人であることを知る。
……というもの(すげえ適当だな……)。
取り敢えず初めに言っておくけど、この映画、好きだ。
ネタバレっていうような映画じゃないんだけど、嫌な人は見てからどうぞ。というわけで、以下個人的感想。
■
どうやらこの映画は一応ホラーという括りらしい。所々残酷描写はあったし、
驚かせるというか、そういう演出は多分にあった。から、苦手な人は駄目かもしれない。ただ、個人的にはこの映画、ホラーというよりラブストーリー。12歳の瑞々しく純粋な恋が、凄い丁寧に描かれている映画だと思う。
人間では無い、枠の外の存在と、人間との恋、というその設定自体は今までにも描かれてきた題材であるように思う。けれど、それが12歳という幼い二人だとこんなに切なく、哀しく、美しい。
幼いからこそ出来ること、言えること、信じられることが、自分にもあった。
映画の中にそれがあった。幼さゆえの真っ直ぐさ、ひたむきさ、驕り、残酷さ、恐怖、繊細さ、強さ、弱さ……それがフィルムを通して、ちゃんと描かれていた。
それはこの映画の一つの魅力だと思う。
そしてもう一つ。
劇中、エリがオスカーに対して自分を受け入れてくれ、と懇願するシーンがある。正確な台詞は忘れてしまったけれど、エリはオスカーに言う。
『少しでもいい、私を理解して』
このシーンは、このテーマこの設定だからこそのシーンだと言える(個人的にはこのシーンがこの映画のベストシーン)。けれどこの言葉は、吸血鬼でない自分たちにも当てはまる言葉だ。
これは切なる願いだ。吸血鬼であるエリに限らず、自分たち人間にとったって。
オスカーとエリが出した答えを、きっと今の自分はもう、選ぶことが出来ない。
でもだからこそ、自分はこの映画が好きだ。二人が選んだ結末も含めて。
■
以下余談的に。
主人公のオスカーを演じた、カーレ・ヘーデブランド。エリを演じた、リーナ・レアンデション。二人の仕草、表情が、この映画をとても素敵なものにしていた。なんと、二人はともに映画出演は初めてだそう。個人的にリーナの浮かべる表情は本当に凄いなあ、と思いながら見ていたので、本当に驚いた。
スウェーデンの映画ということで、雪の舞うスウェーデンのベッドタウンのような街を舞台にしているこの映画。その街の雰囲気がとても良い。
主人公の住む集合住宅の雰囲気や、雪の積もる景色、そして日照時間の短さなどなど。それらスウェーデンの風景が映画の雰囲気をとても盛り上げていたように思う。
あと、二人以外の大人たちが、いい味出してました。特に、エリの父親(的な位置づけ)役。個人的に、彼がエリとどういう関係だったのかが気になります。(原作本買ったので、多分そこには書いてある……はず)
とまあ、そんなんなで、見る価値有!な映画だと思うので、是非。
ただ、上映映画館が限られるので見れない人もいるかも。
今のところ、銀座、梅田、仙台(7/24〜)、名古屋、博多かな。
順次公開予定らしいけど詳しく知らんので興味ある方は調べてみて下さい。
※追記 2010/08/08
原作もとても面白かったので興味があれば是非。
- 作者: ヨン・アイヴィデリンドクヴィスト,John Ajvide Lindqvist,富永和子
- 出版社/メーカー: 早川書房
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Listened Music : 『Fugue3』 / tape
スウェーデンの映画ということで、スウェーデンのアーティストを。
http://www.myspace.com/tapesthlm